小学生対象ワークショップ「いきものとみどりの家」

小学生対象ワークショップ「いきものとみどりの家」


今回は1月末から2月半ばに行われた小学生対象のワークショップ内容についてのご紹介です。


私にとっても小学生を対象としたワークショップは初めて。
基本は小学4年生を対象としたものですが、私自身が小学生の頃、どのくらいの創造性があったのか、どれくらいの絵を描く事が出来たのか、想像しても思い出す事が出来ませんでした。少し難しいテーマではないかという不安を持ちながら挑戦しました。


実際には子供達の創造力は無限に満ちあふれ、少ない時間でよくあれまで制作できたと感心させられるばかりでした。
ただ、実際に「自由に描いてください。」と言うだけでは、やはりどのように描いてよいか、本人だけでは定まりません。今回のワークショップで重要だったのは、どのように子供達の持つ無限に広がる想像力を出来るだけ広げさせる事が出来るか、自由に描くための導入や説明の方法に力を入れました。


私たちの力不足もあり、短時間の制作だけあってどのくらい子供達の能力を発揮させる事ができたか図れませんでしたが、みんな素晴らしい作品を作り上げてくれました。
工事現場の仮囲いに広がる大きな木々やいきもの達の世界とそれぞれに散らばる小さな葉っぱのみんなの世界、遠くから見たり近くに寄ったり、車から眺めたり、歩いてみたりと距離によって作品の見え方が変わってくる筈です。


さて今回は、どのようなテーマで小学生の作品が作られたのかご紹介致します。以下はその計画案です。


小学生対象ワークショップ「いきものとみどりの家」実施計画書(案)


目的:
子供にとってのこのワークショップは、大人が住みやすい環境を想像し都市を作り上げるのと同様に、想像上で自分が物や環境を作り上げるためのイメージトレーニングでもあります。ですが、子供にとってのこの絵は自身が出来る最大限かもしれませんが、実際に公共空間に自身が描いた物が平面上で実現される事は、将来の現実的な可能性や期待ともなります。また彼らの絵を私自身の創造と一緒に展開していきます。


内容:
このワークショップは、広島出身のアーティストである福永敦が制作した「いきものシール」を使い、そのいきもの達の住みやすい家を想像し描くことを通じて、子どもたち自身の未来の暮らしについて想像することを目的としています。


子どもたちには、「いきものシール」から自分の好きなものを選んでもらい、その「いきもの」の気持ちになって何があれば住みやすい家になるのかを考えてもらい、葉っぱの形をしたシールに自然や家を描き込んでいきます。現実的なサイズや条件の問題は考えません。子ども達にとって、想像で生み出した物や環境をいきものに与える事を重視して制作していきます。このワークショップにおいて、「いきもの」とは、社会における他者の隠喩であり、プロジェクトチームは、自分自身をそれらに置き換える事が他者とのコミュニケーションを考えることの一つの方法であると考えます。また、タイトルにある「みどりの家」とは、草木や花などの植物一般や、それぞれのいきものが生活する上での必要な環境を指すものであり、ワークショップを通じて、人間を含む「いきもの」が生きていくために必要な、豊かな自然環境について考えてもらうことを意図しています。


子どもたちによって作られた絵は、ワークショップ終了後に、JR新幹線口周辺の仮囲いの壁面に貼り出していきます。なお、貼付ける作業は、安全上ワークショップに含みません。
それぞれの絵は、プロジェクト期間中に移動や成長を伴い、それぞれの絵が物語に登場し、最終的には一つの絵となります。


準備物:
* キャンバス用の白カッティングシート(サイズ50cmx37cm/あらかじめ葉っぱの下書きをしたもの)
* 12cm四方のいきものシール(白色/それぞれ好きな物を選ぶ/各動物数枚ずつ準備)

* リタックシート12cm四方(透明/人数分+予備用意)
* 9色の油性マーカー(油性は撥水性のあるシートのため/人数分+予備用意)

* 簡単な説明と順番(A4用紙に図も入れた物を用意)
* 完成見本
* いきものシールの一覧表(子ども達が選ぶ時にわかりやすくするため)
* マグネット(作品発表で黒板に貼っていくため)


子どもたちへの作品説明:
子ども達が制作した作品は、広島駅の仮囲い前にいろんな小学生と一緒に展示される事を説明します。また、ただ展示されるのではなく、大きな絵のひとつとなって3月から6月までの間にいろいろな動きがある事を説明します。その形は,大きな葉っぱの上に建つ自然いっぱいのいきものの家。


子ども達には、「いきものシール」の中から、それぞれが気に入ったいきものを選んでもらいます。それらはテレビや動物園で見た事など少なからず知識はあると思いますが、実際どんな所に住んでいたりするのでしょう。また本当に家があるのでしょうか。まずは皆さんに、配られた大きなシールに大きな葉っぱの形を描いてもらいます。資料を参考にして自分の好きな形で書いてみましょう。この葉っぱの上にいきものや自然や家を描いていきます。


今回みなさんには、いきもの達がどんな場所でどんな家に住めば居心地がよく暮らしやすいかを考えてもらいます。動物園で楽しそうに暮らしているように、みなさんも動物園の園長さんになって考えていきましょう。では、動物園で生き物はどんな生活をしていますか。例えば、猿は木に登ったり、遊具で遊んだりしています。キリンは、高い木の草を食べたりします。魚は、珊瑚や水中の草がたくさん生えている所に住んでいます。
もしみんなと同じ様にいきもの達が家の中で生活するのであれば、いきもの達に何があればいいか、考えて描いてください。家の天井から草が茂ってもいいし、家の中に遊具があっても構いません。お猿の猿山だって構いません。もしかすると、家ごと水槽もあったりします。


では、お兄さんお姉さんとどんな所に住めばいいか,相談しながら自由に描いてください。あと、みんなが気に入ったいきもの達にも色を塗って自分だけのカラフルないきものに変身させましょう。


みんなが終わったら黒板に並べてみんなで見てみよう!!





このような内容でワークショップは無事に行われ、素晴らしい作品が広島駅新幹線口の工事現場仮囲いに展示されています。再度、この内容を踏まえた上でご覧頂けたらまた違う見え方が出来るかもしれません。
小学生の作品を見たい方はコチラ!!

小学生のみんな、ありがとう!!!!!